さておき、20年以上彼のファンであるところの僕は当然のごとく、朝一でサンフランシスコの中心地にある封切り映画館のMetreon(http://www.metreon.com)に駆けつけた。到着すると、すでに夕方以降の回にはちらほらとソールドアウトの表示がでている。11AMの回はまだ大丈夫なようだが、焦りながらチケットを購入。販売員から、「どんな映画なの?」と聞かれるも、「Movie about great musician.」と答えるのが精一杯。早く席を取りたい。
と、神の意志について疑問を投げかける「When God Made Me」で、コンサートパートの第1部は終了する。彼の神についての見解は、80年代にFarm Aid(http://www.farmaid.org/)で「God's Perfect Plan」を歌っていた時から、さらに深まっている。
余韻さめやらぬまま、続けて始まるコンサートパート第2部。こちらは、70年代ヒット曲満載で進行した。
第2部 曲リスト
I Am A Child
Harvest Moon
Heart Of Gold
Old Man
The Needle And The Damage Done
Old King
Comes A Time
Four Strong Wind
One Of These Days
---
Old Laughing Lady
バッファロースプリングフィールド時代の「I Am A Child」で観客は大喜び。俺も大喜び。それにしても60の誕生日迎えて「僕は子供」て。続けて「Harvest Moon」。
と、和んだのもつかの間、次の「Heart Of Gold」で空気は一転。この曲は言うまでもないが、72年にニールがソロ名義でアメリカのヒットチャートで初めて1位をとった曲。ようするにスーパースタンダードというか、おなじみの曲と言うか、まあ、そういう曲だ。しかし、これまでに何千回と歌ってきたであろう曲を、今夜のニールは鬼気迫る迫力で歌い上げる。
僕は生きたい
僕は与えたい
僕は美しい心(Heart of gold)を探して探求を続ける坑夫
ハリウッドに行った
レッドウッドにも行った
海を渡って心の黄金を探した
20代でこの詩を書いた彼は、60歳を迎えてなお「Heart of gold」を見つけていないのだと思う。だから、こんなにも真摯に、切実に、歌い上げるのだ。
老人が若者に向かって、自分の人生と似ていると語りかける「Old Man」。破滅に向かうジャンキーについての「Needle And The Damage Done」。愛犬の死を振り返る「Old King」。愛し合う僕らと共に、時代は回ると歌う「Comes A Time」。まだ駆け出しの頃、カナダのバーで歌っていた時、そこで流れたもっとも美しい曲で、今でもこれには到底至らないと紹介した「Four Strong Wind」。
解せぬままに、古い友人を想い、長い手紙を書こうと語る「One Of These Days」でショウが終わった。そして、エンドクレジットをバックに、ニールが誰もいない客席にむかって、ギターだけで「Old Laughing Lady」を歌いだす。これは、深い喪失感と共に、夭折した老女について語られる曲だ。